那須林産工業株式会社

2023.02.10 家づくり

高気密に「乾太くん」、注意点は?

こんにちは! 栃木県 那須塩原市、那須町、大田原市 を中心として 自然素材を使った本当に暖かい、高断熱高気密で耐震等級3の注文住宅を建てている那須林産工業です。
本ウェブジャーナルでは、家づくりに役立つ情報をお伝えいたします。

今回は、近年大人気の住宅設備、リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん」!天候に関係なく、 しっかりふんわりと衣類をガスで乾燥してくれる、共働き世帯にとって心強い味方です。ただし、開放型の燃焼機器と相性が悪い高気密住宅においては少し取り付けの際に注意が必要と感じました。弊社で施工した際に注意した点を、今回ご紹介します。

1.「乾太くん」は、多量の空気を必要とするガス燃焼機器

弊社で設計・施工する「FPの家」は、C値0.1~0.3を目指す高気密住宅です。第三種換気(排気は機械、吸気は自然吸気)を標準仕様としており、室内は少し負圧になっています。
こうした高気密住宅において、室内の空気を一度に多量に消費する開放型の燃焼機器を使うと、玄関ドアが開かなくなったり、機器が不完全燃焼を起こしたり、不具合が起こります。

代表的な開放型機器は石油ストーブやガスコンロなどです。これらを換気を考慮せず使い続けると、不具合どころか、屋内の二酸化炭素濃度が高まったり、酸欠や一酸化炭素中毒など命に関わる事態に陥る可能性もあります。

「乾太くん」のサイトを確認すると、やはりこんな風に書かれています。

”ガスの完全燃焼にはガスの完全燃焼には多量の空気を必要とします。
運転時には、窓を開けるか換気扇を回すなどして換気してください。”

https://rinnai.jp/products/sanitary/laundry_dryer/ldryer_qa

さて、これに関してメーカーはどのくらいの換気を求めているかというと、排湿筒と同じ大きさ以上の換気口又は給気口が家全体の総量(24時間換気の総量)としてあれば問題なしとのことでした。

幹太くん取り付けマニュアルより

2.しかし、高気密住宅において、本当に大丈夫?

一般的には、通常の住まいの換気計画において、換気口や給気口は何か所かあるものなので、その総量は排湿筒を上回ることが多いでしょう。よって、実際問題として新たな給気口の設置は必要ないかもしれません。

しかしながら、同じく、リンナイのQ&Aには以下のように書かれています。

リンナイQ&Aより

弊社の施工する高気密住宅においては、開放式のガス機器にあたるガスコンロ上に設置するレンジフードには必ず同時給排気タイプを選択します(排気と給気をレンジフードで同時に行うタイプです)。こうするとキッチンエリアで給排気がほぼ完結するので、他の24時間換気システムの換気計画に影響を与えることが少なくなるのです。

逆に言うと、同時給排気タイプでないレンジフードの場合は、玄関ドアが開かなくなったり、コンロが点きにくかったりと何等かの不具合が起こります。
ということで、「乾太くん」がガスコンロと同様の開放型燃焼機器となると、やはり少し心配です。

2. 排湿筒からの空気の流入は?

さらに「乾太くん」には、多量の湿気を排湿する排湿筒も必要です。

インターネットを検索すると、この排湿筒がスースーする、つまり、ここから空気の流入があるという投稿も見られます。
先に述べたように、高気密住宅で第三種換気の場合は室内が負圧となります。「乾太くん」を運転していない時間、排気筒が空いていると屋外空気が逆流してくる可能性があることは十分予測できます。

ただ、これに対してはメーカー側からの提案部材があります。

ダンパー付排湿セット

専用部材であるダンパー付き排湿筒です。つまり、運転しないときは、ダンパーが閉まり、外気の流入が止まるという商品です。
高気密住宅でなくても、冬の冷気・気温差のことを考えると、どのお住まいでも付けることを検討されることをお勧めします。

3.ダンパー付き排湿筒に加えて差圧式給気口で二重の対策

共働きのご家庭に人気の「乾太くん」。弊社でも、先年に新築時のFPの家に施工させていただきました。

C値0.2 大田原市で施工のFPの家に付けた「幹太くん」

このお住まい、完成C値は0.2(中間C値は0.1)であり、かなりの高気密住宅です。

中間C値で0.1が出たので、やはり心配で、、上で紹介したダンパー付き排湿筒を取り付けて、通常の24時間換気システムの給気口に加えてランドリールーム内にも差圧式給気口を念のため設けました。

差圧式給気口とは、通常時は給気口は閉じていますが、レンジフード等の多量の排気による室内外の差圧を感応すると給気口が開き外気を取り入れるものです。

高気密住宅では、室内の空気を多量に消費する開放式の燃焼機器は厳禁と言われていますが、那須という土地柄、薪ストーブを使いたいというご要望が多いです。その場合弊社では、高気密型の薪ストーブをご選択いただいて、さらにストーブに直接外気を取り込む、外気導入口をつけたうえで、お引渡しさせていただいています。それでも、初期点火の際は、近くの窓を開けていただかないと、不完全燃焼を起こすぐらい、高気密住宅は負圧となっています。
ということで、薪ストーブの経験から、「乾太くん」の場合もストーブほどではないとしても、何か起こった場合の予防措置として差圧式給気口をつけさていただきました。

4.まとめ

弊社の施工例をご紹介しましたが、この施工は、ほんの一例です。ほかに何か良い方法や対策機器があるかもしれませんし、そもそも、高気密住宅でも全然普通に動作する・・・という投稿も見かけした。我々も、工務店仲間にも声をかけて、高気密住宅での施工方法や動作状況を尋ねましたが、普通につけて問題ないという声も多かったです。

ということで、今後、高気密住宅で「乾太くん」をご採用予定の方は、住宅会社とご相談の上で、取り付け方法をご検討ください。

より単純には、何か異常を感じたら近くの窓を開ける、、でもよいかもしれませんね。

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